2022年5月現在の日本では、新型コロナウイルス感染症、いわゆるCOVID-19が大流行し、感染症対策やワクチン接種などで大変なことになっています。
現代にいきる我々は未曾有の事態にてんわやんわ状態であることは間違いありません。
しかし、日本の歴史を振り返ると、日本もまた伝染病の大流行で大変なときもありました。
今回の記事ではそれをご覧いただきたいと思います。
今回ご紹介する伝染病は4つです。
天然痘、ペスト、コレラ、結核。
順番に見ていきましょう。
天然痘
天然痘が日本に伝わったのは、6世紀です。
江戸時時代までには日本に定着していました。
そして、天然痘は強い伝播力があったので、幾度となく流行を繰り返し、その高い死亡率から何人もの人が死亡しました。
また、一命を取り留めても顔や体に跡が残ることから、恐ろしい病として考えられてきました。
しかし、1976年にイギリス人医師であるジェンナーが画期的なワクチンを開発しました。
その名前が「牛痘法」です。
牛にも天然痘に似た感染症があります。
これが牛痘です。
読み方は【ぎゅうとう】です。
牛痘の膿(牛痘苗)を体に入れると、水疱性の発疹が現れるのですが、その発疹を採取して、人が接種すると同じく発疹が現れます。
しかし、この方法で接種した人は天然痘に罹患しなくなるのです。
この方法でワクチン接種していき、1980年5月にWHOは天然痘の世界根絶宣言を発表しました。
人類が唯一根絶することに成功した感染症です。
ペスト
ペストは、ペスト菌による感染症ですが、元々はねずみなどに感染する感染症でした。
歴史上何度も世界中で大流行した感染力の強い感染症ですが、一番大流行したのは14世紀のヨーロッパでした。
その時はヨーロッパ人口の3分の1~3分の2が失われたと言われました。
ただ、ペストは抗生物質の投与による効力がよく効くため、早期に治療を受ければ必ず死ぬ病気ではなくなりました。
しかし、医療が十分に受けられない地域など、代表的な場所がアフリカですが、そういった地域においては今も命にかかわる病気です。
ちなみに、ペストに感染すると皮膚が黒くなる特徴があるので「黒死病」とも言われます。
コレラ
コレラは世界で古くから何度のも流行している病気ですが、日本では江戸時代以降に流行を繰り返してきました。
江戸時代の日本では、発症してから死ぬまでの速度が早いことから、「虎狼痢(ころり)」と呼ばれたり、当て字で「虎列刺」と表記されました。
また、罹患すると激しい下痢や嘔吐などの症状が出るところから「鉄砲」「見急」とも呼ばれていました。
日本での感染は著しく少なくなりましたが、世界的にはまだまだ流行している感染症です。
1822年(文政5年)
1回目のコレラ・パンデミック
対馬・下関を経由して、大阪・京都まで到達して、「三日コロリ」と呼ばれて、患者・死者数は数十万人に達すると予想されていた。
1858年(安政5年)
2回目のコレラ・パンデミック
長崎・広島・大阪を経由して、江戸に到達しました。
その中で、医学者であった緒方洪庵が海外のコレラに関する書籍を翻訳し、一冊の本として完成させました。
結核
『結核』は古くからある病気です。
日本では、『源氏物語』や『枕草子』などにも結核と考えられる描写があります。
「国民病」と呼ばれるようになるまで結核が大きな問題となったのは明治以降です。
経済の近代化によって広がる
「結核」は、かつて『不治の病』といわれ、経済の近代化により世界各地に広がり、多くの死者を出したといわれています。
18世紀後半以降にイギリスで、産業革命とともに結核が大流行しました。
大都市に人口が集中し、貧困層を中心に感染が広がり、1800年~1820年頃に非常に多くの死者が発生しました。
この後、ヨーロッパ諸国やアメリカへと広がり、とうとう日本にも辿り着きました。
日本には、大正、昭和初期などに圧倒的死亡率を出しています。
結核に対する意識が変わる!
転換期は1943年に結核に対する最初の抗菌薬が開発されます。
これを皮切りに結核に対する人間の心が変わります。
昨今で、結核による脅威が消えたわけでなく、ただ死亡率が低下したことで、結核の患者を見つけ出して隔離する公衆衛生の根本的なシステムが成熟しなかったから。
まとめ
2020年から世界中で新型コロナが発生し、今でも新型コロナの脅威に怯える毎日です。
ワクチン接種をすると副反応に悩まされる人も多かったのではないでしょうか。
今回の記事では過去の日本で流行した感染症を取り上げました。
振り返ってみると、何回も感染症が流行していることが分かります。
数十年後の記事では、またこうやって新型コロナを取り上げることあるのでしょう。
では、今回はここで終わりたいと思います。
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