敬語を使うなんて面倒くさいと思う人は多いと思います。
しかし、敬語の歴史を振り返ると、そこには日本人としての心が詰まっています。
今日は皆さんに敬語の歴史を振り返ってもらいたいと思います。
まずはいくつか質問します。
- 皆さんは敬語の種類が多い理由を知っていますか?
- 皆さんは敬語が使われ始めた理由を知っていますか?
- 皆さんは敬語のことが好きですか?
すべてにイエスと言えなかった人は続きを読んでください。
敬語の誕生
敬語が誕生した理由には色々と説が唱えられていますが、今回は主な説に立脚してお話をしていきたいとおもいます。
日本には八百万の神がいます。
その神々を崇め祭祀を行っているのが天皇陛下です。
天皇陛下が神々と崇めるために、祝詞に特別な言語形式を使い、神々と一定の距離を保ちました。
これが敬語の誕生です。
このときの敬語を絶対敬語といい、絶対的に立場に君臨していた神に使われた敬語という意味です。
そこから神の化身であった天皇陛下に対しても敬語が使われるようになり、身分制度で細分化される敬語へとなっていきます。
敬語の細分化
まずは敬語の種類を再確認してみましょう。
敬語には3種類あります。
- 尊敬語 – 歴史が最も古く目下が目上に対して使う敬語
- 丁寧語 – 目下や目上といった概念のない敬語
- 謙譲語 – 目下が目上に対して己をへりくだるために使う敬語
敬語の誕生は天皇陛下が神に捧げる祝詞の特別形式であるというお話は先程しました。
これも一種の身分制度ではありますが、敬語が細分化されたのは国民の身分制度の細分化です。
謙譲語の誕生
例えば士農工商などを見ていただきたいのですが、平民が武士に対して尊敬語で話すことはできるのでしょうか?
たぶん無理だと思います。
私なら恐れ多くて切腹ものです。
つまり、相手との身分差が開けば開くほど、相手を持ち上げるだけでは駄目になってきます。
そこで尊敬語以外にも誕生するわけです。それが謙譲語です。
丁寧語の誕生
だんだんと身分制度だけで敬語を使い分けるのは難しくなっていきます。
そうです。
師弟関係や商人・客の関係などです。
身分制度で上下の決まらない上下関係です。
こういった人には尊敬語でも謙譲語でもない敬語で話そうということになりました。
それが丁寧語の誕生です。
ちょっと休憩
天皇陛下が神に捧げる敬語のことは「絶対敬語」とお話しました。
その後、敬語は細分化され多様な敬語時代に突入します。
そこで出てくるのが「相対敬語」です。
- 奈良時代 – 尊敬語は存在しており、西日本に多く、東日本には少なかったです。都の影響でしょう。
- 平安時代 – 丁寧語が誕生しつつあります。工芸・武術などが盛んになってくるからなのでしょうか。
- 江戸時代- 同じ身分でも家柄によって敬語を使い分けたり器用なことをしていました。
このように使う敬語も相手によることを相対敬語といいます。
まとめ
最後に敬語についてまとめておきましょう。
- 尊敬語 – 歴史が最も古く目下が目上に対して使う敬語
- 丁寧語 – 目下や目上といった概念のない敬語
- 謙譲語 – 目下が目上に対して己をへりくだるために使う敬語
敬語の細分化は、身分制度の誕生により、身分差が広がると尊敬語だけでは対応がしきれなくり、謙譲語も誕生した。
また、身分制度によらない上下関係にも対応するために丁寧語も誕生した。
こう考えると、敬語は日本文化とともに歩み、誕生したことが分かります。
敬語は日本の心な気がしてきます。
日本人であれば、敬語を上手に使っていきたいものですね。
では、お会いしましょう。